幸運の器
カノンは、先頭に立ってさっさとその離れの中へと入っていく。

しかし、その離れの入り口は何故かものすごく狭いつくりになっている。

悠斗は、四苦八苦しながらもその部屋に転がり込んだ。

悠斗が部屋に入った後、入り口は静かに閉められた。

後ろからついてきていた、龍ヶ崎という男はこの部屋の外で待機ということらしい。

悠斗は、部屋の中を物珍しげに眺めた。

4畳半ほどの狭い部屋の中には、ほとんど調度品などない。

ただ、部屋の隅にやかんのようなものが置かれているのが気になった。

そんな悠斗の視線に気づいたのか、カノンは口を開いた。

「ここは、茶室じゃ」

「茶室?」

「そうじゃ。ここなら、誰の邪魔も入らぬゆえにな」
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