幸運の器
その出会いは突然訪れた。

いつものように、午後からの講義に出るため大学へ向かう道すがら――


「桜井悠斗、我はお主の器を奪いに来た」


いきなり名指しでそんなことを言われて驚かない人間などいないだろう。

悠斗もその一人だった。

だいたい意味がわからない。


「えっと……」


とにかく、その発言の主を問いただそうと辺りを見渡してみたが、そこにいたのは小さな女の子が一人だけ。
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