アイツとコイツは許嫁。
体育着を着た生徒がごった返す玄関や廊下を通り、教室へ。
「ああー!疲れた!」
何もしてないのに疲れた。
ひとまずイスに座って、鞄の中の弁当を探す。
弁当は瑞江さんが作ってくれた。
本当はコンビニで買っても良かったんだけど。
「腕を振るいますわよ~」
と言っていたから、言うにも言えなかった。
かなり気合を入れているように見えて、5段弁当でも作るんじゃねえかと冷や冷やした。
見た目は案外普通の弁当箱だけど、気になるのは中身。
「おーい!摩央!!早くしないと、いただきますしちゃうよー!」
『いただきます』なんて言ったのはもちろん俊哉。
・・・中身確かめたかったんだけど。
まあいいや。
俊哉の隣にドカッと座って、いただきます。
恐る恐る中身を見る。
1番に目に入ってきたのは、たこさんウィンナー。
その他卵焼きとか、何かアスパラをベーコンで包んで炒めた感じのものなど。
案外、弁当の中身としては王道なものばっかりで安心した。
全部手作りだと思うと、拍手を捧げたくなる思いだ。
「えー!摩央の弁当うまそー!!」
隣でそう言った俊哉は有無を聞かず、卵焼きを口に放り込んだ。
聞く事ぐらいしろや。