アイツとコイツは許嫁。
半ば置き去りにされた俺。
・・・気まずいー。
すると東宮母は、
「疲れたでしょう?部屋に荷物があるから片付けるついでに、休憩していていいわよ」
そういって笑った。
一見きつそうに見えるけどやさしいんだな。
「琥珀、案内してあげて」
い゛っ!!?
平気です、と言おうとしたものの家が広く場所も聞いてないから、
「・・・・・・」
「・・・・・・」
嫌々こいつについて行った。
ふと、疑問。
「おまえ、名前なんていうんだ?」
名前知らないといろいろ不便だし。
「・・・今更ですか。琥珀です」
今更って・・・。
「お前は俺の名前知ってんのかよ」
「もちろんです、『摩央』」
いきなり呼び捨てかよ。
「いきなり呼び捨てなわけ?」
「摩央こそ、せっかくわたくしの名前を教えて差し上げたのに『おまえ』呼ばわりなんてそりゃないよですわ」
『そりゃないよですわ』って・・・。
なんだそれ。