アイツとコイツは許嫁。
・・・ああ、そのことですか。
「今は話したくございませんわ・・・。また、いつか話します・・・」
その話には触れないでください・・・。
そうしてわたくしがうなだれ、頭をたれている時、
「・・・そっか」
そう言った水樹さんがほんの少しだけ悲しそうな顔をしたのをわたくしは知りませんでした。
まだぎゃあぎゃあとうるさい摩央たちの方に目をやりますと・・・。
・・・何がしたいんでしょうか。
みんな笑いながら、戦っています。
たくさんの人が騒いで、どたばたしてますけれども番目立っているのは摩央。
周りの人と同じことをしているのですけど。
見た目だって似たような人がいるのですけど。
初めて会った時とは違う黒髪。
周りの人より少し高い背。
不覚ながらも、かっこいいと思ってしまうその容姿。
わたくしには見せることのない笑顔。
・・・何でこんなに目立つんでしょう?
その後、しばらく摩央を見ていました。