アイツとコイツは許嫁。


理科です。


ありえないです。


しかも実験室で授業ですか?


腐った卵と鉄が混ざったような匂いのするあの部屋に行くなんて、このわたくしに対しての侮辱なのでは?


「琥珀ちゃん!」


笑顔を振りまいてこっちにくるのはもちろん水樹さんです。


「一緒に実験室行こうっ」


「もちろんですわ」


いつも一緒に行動しているのだからいちいち聞かなくてもよいのでは?


水樹さんが声を掛けてくる度にそう思います。


水樹さんと廊下を歩いているとき一瞬、摩央と目が合いました。


・・・まあ、一瞬です。


思いっきり逸らされましたわ。


摩央が逸らしていなくてもわたくしが逸らしていたでしょうけど。


・・・誰のせいでしょう?


・・・今、無性に実験器具を壊したくなってきましたわ。


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