アイツとコイツは許嫁。


授業がすべて終わり、今は放課後です。


窓の外を見ると、空が夕日で染まりきれいな茜色になっていました。


美しいです。


心が和みますわ。


「オイ」


・・・・・。


・・・本当にこの人は空気が読めないのですね。


「・・・なんです」


せっかく気持ちを休めていましたのに。


「とっとと帰るぞ」


・・・はあ。


何を言っても通じないことはとっくに学習済みですとも。


「・・・分かりました」


「お、何か今回はやけに物分りがいいんだな」


びっくりした顔を向ける摩央。


誰のせいですか?


キレてもよろしいのでしょうか。


廊下に出ると、


「・・・」


これまた視線が一気に集まってきました。


・・・またですか。


何をそんなに騒ぐ必要があるのですか。


そんなにじろじろ見るのなら、わたくしが睨み殺しますわよ?


そんな事を思いながら、玄関を目指しました。


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