アイツとコイツは許嫁。

「おい、琥珀」


声をかけると琥珀とあの男が一緒に振り向いた。


琥珀は一瞬びっくりしたような顔をして、


「何ですか」


と言った。


「お前、旗作んねーの?」


ぶっきらぼうに聞いた。


言った後にもっと他の言い方があるだろうと思った。


「別に関係ないでしょう。というより摩央に言われたくありませんわ」


いつものような憎まれ口。


その勢いで女子の所まで行って旗でも何でも作ってくればいいのに。


何、こういう所で臆病なわけ?


「みんなあっちで作ってるぞ」


少し、意地悪してやる。


日ごろのお返し。


「・・・っ」


ほんの一瞬、琥珀の顔が歪んだ。


―――そして、


「君はなんなの?」


あの男がいきなり口を開いた。


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