アイツとコイツは許嫁。
いきなりすぎて少し心臓が跳ねた感じがした。
「・・・は?」
返す言葉が見つからず、間抜けな返事をした。
俊哉よりも少し高い位の身長にまあまあ整った顔。
俊哉や那岐に比べたら全然だけど。
そして黒い髪。
見た目はただの地味な男なのに、声はとても凛としていた。
「君、琥珀ちゃんと知り合いなの?」
『琥珀ちゃん』?
お前も随分と馴れなれしいな。
「お前には関係ないだろ。つか、お前の名前は?」
「水樹裕介」
かなりそっけなく言われて一気に頭に血がのぼる。
お前から話し掛けてきたくせに何なわけ?
「・・・うぜぇ」
無意識に口からこぼれる。
ピリピリした空気が漂っている。
「摩央!やめてください!水樹さんに何の恨みが?」
琥珀が割り込んできた。
そいつをかばうの?
「もう用はお済ですか?それならとっととあっちへ戻ってください」
そう言うと俺を無視して水樹って奴と話し始めた。