アイツとコイツは許嫁。


「うん、何か東宮さんから伝言預かってさあ・・・。」


・・・琥珀から?


「『先に帰る、と摩央に伝えておいて下さい』って」


幾分か救われた気がした。


このまま一緒に帰るなんて気まずすぎて心臓がもたねえから。


「・・・で、俊哉は俺を探してたと?」


どうせ教室に戻るんだから、探さなくてもよかったんじゃねえの?


・・・と、思った後に気づいた。


「んー?何か探したかったから。」


俊哉は俺が教室に戻りづらくなる事を見越してたのか?


それで今、その事を口に出さなかったのは俺のプライドが傷つくかもしれないから?


・・・なんて。


自惚れるのもいい所だ。


だけど、


「サンキュ」


これが不器用な俺なりの精一杯の感謝。


「本当だよ」


そう言って俊哉は俺に鞄を渡した。


ありがとうな。


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