アイツとコイツは許嫁。


気づいたら朝でした。


・・・ベッドから出たくありませんわ。


しかしそうも言ってられないので、温かさ残るベッドから身を出しました。


「はあ・・・」


この頃習慣になりつつあるため息を吐きながら部屋を出ると、


「はああぁ・・・」


ため息を吐きながら出てきた摩央に、ばったりと会いました。


・・・何ですか、この偶然。


この状況にもため息が出てしまいそうなのを必死に堪えて、摩央の目の前を横切りました。


その後も洗面所など色々な所で鉢合わせてしまって。


摩央はその度に苦い顔をしていましたが。


何でこんな時に限ってこういう事が起こるのでしょう?


わたくだって、苦笑が顔ににじみ出そうですわ。


「いってらっしゃい」


お母様の声に見送られ、学校へ向かうのですが、道のりが果てしなく長い気がします。


いつもに増して長いです。


「・・・」


そしていつもに増して空気が重いですわ。


早く学校に着いてください・・・。


刹那にそう願いました。


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