アイツとコイツは許嫁。


玄関も、学年を問わず体育着を着ている生徒でいっぱいだった。


どこか『帰省ラッシュ』、と言う単語を連想させるこの情景。


玄関はもう既に砂ぼこりでいっぱいで。


視界が白く濁った。


俺は一刻も早くこの場所から出たくて、ぎゅうぎゅうと押し合いをしている生徒たちを半ば無理やり押しのけながら外を目指した。


喜ばしいことに、俺に押されて、


「何だよ」


とか言ってきた奴らも俺の姿を見た瞬間、


「・・・」


無言で道を開けてくれた。


それは多分、俺が長身であり不穏なオーラが漂っていたからだと思われる。


この学校で俺が顔パスになる日は遠くないんじゃないか?


と、とんでもなくくだらない事が頭に浮かぶ。


外に出たら、朝よりも強い日差しがさしていた。


雲1つない秋の青空に、太陽だけが存在を主張していた。


「俊哉っ―――」


かなり体育祭日和じゃね?、と言おうと隣を見たが俊哉がいなかった。


「チッ、置いてきたか・・・」


短気な俺は思わず舌打ちをする。


・・・トロい奴。


まあそんな所もいいのかもしんねえけど。


心の中でつぶやきながら、サンサンと降り注ぐ太陽の下、俊哉を待っていた。


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