アイツとコイツは許嫁。
初っぱなの競技なのに、声が枯れるんじゃないかって位応援した。
しかも100メートル1本を、順番に1回走るだけの地味な競技なのにも関わらず。
個人競技や団体競技は、学年ごとにクラス対抗。
1種目、100メートルが終わったところで俺らのクラスは8クラス中5位。
出だしとしては遅れた気がする。
那岐はリレーと100メートル走を掛け持ちしていた。
那岐は3年の2組目で出ていて、結果は堂々の1位。
かなり速かった。
ちなみに俺のクラスの2組目の奴はビリだった。
・・・思わず殴りたくなる衝動を必死に堪えた。
次は障害物競走。
何か難易度は学年ごとに違うらしい。
今は1年生の女子の障害物。
ワーワー盛り上がっている中、隣で俊哉がボソッと言った。
「あの子かわいくない?ほら、今平均台にいるお団子した感じの子」
お団子?
・・・よたよたと平均台の上を歩いている奴、発見。
「ああ、まあまあじゃね?」
自慢できるほど視力はよくないが・・・。
そこそこかわいいと思う。
許婚がいるのにこんな事を考える俺もどうかと思うけど。