微温湯〜ぬるまゆ〜
その頃の私には恋人がいなかった。経費削減のため、友人と家賃折半で広いアパートを借りていた。
高校を卒業して付き合った人とは、2年も愛し合ったのに私の気持ちが冷めて別れた。
冷めた時、私には他に想う人が居たが、それはルームシェアしていた友人が想いを寄せる相手だった。
彼女から想いを聞かされる前から私は彼と友人関係にあったが、なんとなく言い出せなかった。それは、彼に恋人がいることを知っていたからで、決して自分の気持ちがあったからではない。
それなのに私は、彼女の気持ちを聞いた上で、それまで通り彼と接していくうちに、彼に恋愛感情を抱くようになった。
何故だろうか。
自分だけしか知らない。そのことで彼女のことを上から見たかっただけかもしれない。
そんなある日、彼と足を運んだ居酒屋で偶然彼女と鉢合わせた。
虫の居所が悪かったのか、お酒の力なのか、普段は大人しくかわいらしい彼女が、店の外で取り乱し罵声をあげた。
酔っていた彼女は涙声で言った。
「なんであの人と一緒にいるの。」
「どうして? 意味がわかんない。友達だと思ってたのに、こんなの裏切りだよ。ありえない。仲良くしてあげてたのに。一緒に住んであげてたのに。」
女って怖い生物。
本気でそう思った。
彼女に対しても自分に対しても。
「私が何したって言うのよ。」
吐き捨てるようにつぶやいた。
「あなたの気持ち? 毎日話し聞いてたんだから、知らないはずないでしょ。」
「あなたと一緒に暮らす前からずっと知り合いだったんだから。こうなったから言うけど、彼ね、他に好きな人いるんだよ。あなたの気持ちなんて叶わないんだから。知り合いだって話したら、紹介して欲しいって思っちゃうでしょう?彼にその気が無いことを伝えた方が良かったかしら。そしたらあきらめられたの?」
もっとひどい言い方だったかもしれないけど大体そんなところだろう。彼女の言葉の棘で傷ついた私は、精一杯の憎しみを込めて叫んでしまっていた。
彼女に、自分の想いは話さなかったけど、彼女はきっと気づいたのだろう。
2ヶ月後、彼女は部屋から出て行った。
高校を卒業して付き合った人とは、2年も愛し合ったのに私の気持ちが冷めて別れた。
冷めた時、私には他に想う人が居たが、それはルームシェアしていた友人が想いを寄せる相手だった。
彼女から想いを聞かされる前から私は彼と友人関係にあったが、なんとなく言い出せなかった。それは、彼に恋人がいることを知っていたからで、決して自分の気持ちがあったからではない。
それなのに私は、彼女の気持ちを聞いた上で、それまで通り彼と接していくうちに、彼に恋愛感情を抱くようになった。
何故だろうか。
自分だけしか知らない。そのことで彼女のことを上から見たかっただけかもしれない。
そんなある日、彼と足を運んだ居酒屋で偶然彼女と鉢合わせた。
虫の居所が悪かったのか、お酒の力なのか、普段は大人しくかわいらしい彼女が、店の外で取り乱し罵声をあげた。
酔っていた彼女は涙声で言った。
「なんであの人と一緒にいるの。」
「どうして? 意味がわかんない。友達だと思ってたのに、こんなの裏切りだよ。ありえない。仲良くしてあげてたのに。一緒に住んであげてたのに。」
女って怖い生物。
本気でそう思った。
彼女に対しても自分に対しても。
「私が何したって言うのよ。」
吐き捨てるようにつぶやいた。
「あなたの気持ち? 毎日話し聞いてたんだから、知らないはずないでしょ。」
「あなたと一緒に暮らす前からずっと知り合いだったんだから。こうなったから言うけど、彼ね、他に好きな人いるんだよ。あなたの気持ちなんて叶わないんだから。知り合いだって話したら、紹介して欲しいって思っちゃうでしょう?彼にその気が無いことを伝えた方が良かったかしら。そしたらあきらめられたの?」
もっとひどい言い方だったかもしれないけど大体そんなところだろう。彼女の言葉の棘で傷ついた私は、精一杯の憎しみを込めて叫んでしまっていた。
彼女に、自分の想いは話さなかったけど、彼女はきっと気づいたのだろう。
2ヶ月後、彼女は部屋から出て行った。