オマジナイ
マカはその様子をドア一枚向こうで、全て感じ取っていた。

目を閉じ、ゆっくりと手を離す。

机を取り巻いていたモヤは、すでに消え去っていた。

「…すまん、な」

このままではマカは親友のミナを失っていた。

だから少女との命を天秤にかけ、ミナを…選んだ。

モヤを…このマジナイを『気』で払えば、行った本人の命が失うことを分かっていて…それでも選ばざるおえなかった。

少女が倒れているドアとは反対のドアから、教室を出た。

冷たくなった少女を見て、けれどすぐにマカは反対方向へ歩き出した。

―その光景を、屋上からリリスが見ていた。

「ふぅん…。先輩って、彼女のことだったの。まっ、彼女の正体を確認できただけでも、役に立ったわね」

リリスの目には、マカの険しい顔しか映っていなかった。
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