思い出の前に
安堂はミサに気を使わせないように、さきほどテーブルに置いたスプーンを手に取り、むしゃむしゃとパフェを食べ始めた。



「お前も食えよ。溶けるぞ」



安堂はバカで鈍感だが、好きな女の背中を押してやれる器のデカい男だったのだ。



「ありがと…」



ミサは小さくそう言い、安堂と同じようにパフェを食べ始めた。
< 20 / 28 >

この作品をシェア

pagetop