思い出の前に
「おめでとう」








純白のウエディングドレスを身にまとったミサに、桐谷が言った。



桐谷の隣には、安堂とはまた別の男がいる。



「本当におめでとう」



その男も笑顔でミサにそう言った。



「2人とも、ありがとう」



今日のミサの笑顔は、美しいのはもちろんだが、神々しいという表現の方が近い気がする。



「キレイ…」



桐谷は改めて思い、それをそのまま口に出した。



隣の男もニコニコしながらうなずいている。



「あんまり褒めないで」



ミサは少し顔を赤くして言った。



「康仁呼んでくるよ」



桐谷はそう言って、隣の男の腕を引っ張り、控え室から出ていった。
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