思い出の前に
「康仁!!」



桐谷が岡部の控え室のドアを乱暴に開けた。



岡部も白いタキシードを着ていて、それなりに格好いいのに、桐谷からはなんのコメントももらえなかった。



「お前らか。なんだよ」


「自分の花嫁見た?」


「いや、まだ見てねぇけど」


「ビックリするよ!あんたにはもったいないくらいキレイだから」


「へぇ〜」



あまり興味のないフリをした岡部だったが、本当は見たくて仕方ないのだ。



その気持ちに気付いた桐谷と隣の男は、必死で笑いをこらえた。



「あんまり興味ないみたいだから、うちら花嫁の控え室戻るわ」


「おう」



桐谷と男は岡部の控え室から出て行った。
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