思い出の前に
「う〜化粧ヤバいよ」



映画は、ラブストーリーの要素もたっぷりあり、ミサも満足していた。



結果オーライ。



「お前泣きすぎだよ」


「康くんだって泣いてたじゃん。ちゃんと見えてたもん」



ミサはいたずらっぽい笑顔を岡部に向けた。



そのかわいらしい笑顔を見た岡部が舞い上がったのは言うまでもない。



映画が終わり、今度は食事をしようという事になった。



他愛のない話をしながら店を探していると、はるか前方に安堂がいる事に気がついた。



安堂は岡部とミサに気付いていないようだ。



ミサも安堂には気付いていない。



「ミサ、あっちの方へも行ってみようか」



岡部はミサが安堂に気づく前に、安堂がいる方とは逆の方へと歩き出した。
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