* 眠りの森の里亜 *〜王子のもの〜
――ぱたん。
俺が制服を着て、家から出ると
タイミングよく
里亜も出てくる
待ち伏せ?
はあ〜
しなくていいのに
待ってやるのに……
言わないけど
隣で歩き出すと、里亜が上目づかいで話す。
「朗慈、ここ、かまれた・・・・・・」
ぶっ!
吹き出しそうになるのを、こらえる俺。
里亜は、俺によく見せようと
セーラー服のとめをはずし
首元を広げる
しっかり、見る。
二つの赤い跡。
「朗慈の部屋、虫でも入ったんじゃない?」
虫?
「いないね」
俺以外。
「まっいっか!」
里亜は明るく言うと、俺の腕にしがみついた。
強くしたら、
跡がのこるか・・・・・・
今度から、気をつけよ。
_