恋するキモチ
この日は山下がみっちりと中での仕事を教えてくれた。
残念ながら、成田は聞き込みがあるとかで、三井と一緒に出かけて行った。

「そろそろお昼にでも行こうか」

言われて京子は頷いた。
連れて行ってもらった先は、警視庁内の食堂だった。思っていたより、普通の食堂で、食券を購入して食べるというタイプの食堂だった。

「おや、今日はこちらで昼食ですか」

どれを食べようかと悩んでいると、隣にいた山下に声をかける人がいた。慌ててボタンを押して出てきた食券を取った。

「紹介しますね、今日付けで捜査１課に配属になった杉本さん」

相手の顔を見て、思わず成田たちと初めて会った時のことを思い出した。

「あ…はじめまして、杉本京子です」

ぺこっと頭を下げると、にっこりと笑う松坂の姿があった。

「本当に警察官になったんですなぁ」

感慨深げにいう松坂に、京子は思わず目を見開いた。

「松坂さん」

別の人に声をかけられて、松坂はそれじゃぁと言ってその場を去って行った。


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