恋するキモチ
順調に仕事をこなしていき(といっても、単純な入力作業がほとんどだったけど)定時とともに、仕事もビシッと終わることができた。

少し前に戻ってきた、成田を思わず目で追っていた。

「どうかした?」

山下が、京子の視線の先を見てみる。

「あー…ごめんね、成田先輩、怖いよね」

「え?」

「まぁあの顔だし。無愛想だし。ま、そんなだから彼女もできないんだってはなしなんだけどねぇ」

ケラケラと笑う山下を、思わず京子はじっと見つめた。

「先輩、彼女いないんですか?」

「へ?」

「あぁ…成田先輩です」

不思議そうな顔をする山下。

「いないけど…なんで?」

聞かれて、慌てて首をふる。

「へっ?いやっそのっ…えと、成田先輩くらいの歳なら、結婚しててもおかしくないのになぁって思って」

少し顔をひきつらせながら答えると、山下はうんうん、と大きく頷いた。

「あ、今日の歓迎会なんだけど、三井先輩と成田先輩は行けるみたいで、他はちょっと別件でたてこんでるみたいなんだ。4人でって感じだけどいいかな?」

聞かれて私は、満面の笑みで頷いた。

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