恋するキモチ
「で?洋司はどうすんのよ」

呆れはてた顔で、希美が言ってくる。

「だぁってぇ…成田さんマジで彼女いないんだよ?」

「でも、あんた彼氏いるでしょうが」

「なりたんがいい」

「あんたねぇ…」

深いため息をつく希美に、ぷぅっとほほを膨らまして私は言った。

「希美だって知ってるでしょ?私がずっと、成田さんのことが好きだってこと」

希美はまた、深いため息をついた。

「もちろん、知ってる。けど、その成田さんを忘れるって言ってなかった?第一、それで洋司と喧嘩だってしてたじゃない」

言われて、私は思わずムスッとした表情になる。

「洋司はいいやつだし、一緒にいて楽しいけどさ…成田さんがやっぱりいいんだもん」

目の前のコップに入っていたお酒を、一気に飲み干した。

「まぁ…付き合うか?って言われて、断ったのは誉めてあげるわ」

ため息を混じりの希美の言葉に、私は泣きたくなった。

「ほんとは、断りたくなんかなかったもん」

お店を出て、3人とは別方向と言うことで、別れようとしたところ、酔っているせいか、成田が付き合うか?と聞いてきたのだ。

「…今うんって言ったら二股になっちゃうもん。成田さんとは、ちゃんとお付き合いしたいの」

その言葉に、希美ははいはい、と頷いた。

「そうね、そうだね。じゃさっさと洋司と別れちゃえば?」

どうでもよくなってきた感がありありと受け取れた。

「…今週末、洋司とちゃんと話す。だから予定あけといて」

そう言って、私は希美のコップに残っていたお酒も、ぐいっと飲み干した。

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