恋するキモチ
「本日より、捜査一課に配属になりました杉本京子です。至らない点も多く、ご迷惑をおかけするかと思いますが、どうぞよろしくお願いします!」

少しだけ栗色をしたショートヘアの明るく元気のいい女の子が、三井に紹介されて短く挨拶をする。
わっと拍手が起こった。

「しばらくは先輩の仕事についてまわれ。そこから徐々に覚えていくだろう」

三井はそういうと、山下を呼んだ。
捜査一課の中で一番若い(下っ端)の山下は、呼ばれて緊張気味に駆け寄る。

「山下修一です。よろしく」

「杉本京子です!よろしくお願いします」

ぺこっと杉本が頭を下げる。
初めてできる後輩でテンションが上がっているのか、山下の顔がみるみる緩をでいく。

「おい!そんなんで後輩の面倒みれんのか?」

「いって!…ちょっと先輩、やめてくださいよ」

軽く頭をたたくと、山下は頭をさすりながら成田を見た。

「はじめまして!杉本京子といいます」

杉本がまた頭を下げる。必死で顔が緩まないように自分に言い聞かせながら、俺ははじめまして、と返す。

「成田吉安だ。よろしくな」

「はい!成田先輩!」

くるっとそのまま向きを変える。


まずい。
かわいいじゃねーか!


山下が後ろでデレデレしているのが分かったが、自分の顔もなかなかのもののような気がして、振り返ることができなかった。
< 2 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop