恋するキモチ
「そういえば、今履いてらっしゃるスニーカーって、確かナイスの限定モデルじゃなかったでしたっけ?」

京子に聞かれて、男は一瞬、言葉に詰まった。

「あ?…あぁ…。だいぶ前に廃番になってて、今じゃもう販売されてないタイプだな」

「ですよね!かっこいいなぁって思ってたから、もしかしてって思ったんです!」

京子が両手を合わせて、うっとりとしたような表情で答えると、男は少しニヤッと笑って答えた。

「かなり人気のモデルだったし、結構したんだぜ?このスニーカー」

得意げに言う男に、京子はうんうん、と頷く。

「ちょっと失礼」

グイっと後ろから腕を引っ張られる。

「へ?」

バランスを崩しつつ、引っ張られた方を見ると、そこには不機嫌そうな表情をした成田の姿があった。

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