恋するキモチ

恋するナリタン

規格外

世の中、そう、甘くはない。

わかってはいたつもりだったが、杉本の出現により、俺はすっかりそのことを忘れてしまっていたようだった。

月島の路上で、男性の遺体が発見された。身元を確認できるようなものは持っておらず、今のところ、身元は不明。後頭部に殴られたような痕があることから、他殺の線で調査を進めることになった。

「先輩、京子ちゃん連れてきました」

山下の声に振り返ると、少し戸惑ったような顔をしている杉本の姿があった。

「え？え？？お…遅くなりまし…た？？？」


…意外と平気そうだな。ま、まだ遺体を見てないしな。


そう思いながら、京子を手招きして呼ぶ。

「こっちに被害者がいる。まずは見て気づいたことを言ってみろ」

杉本は頷き、俺の隣に座った。