恋するキモチ
「なにかわかったか」

三井に聞かれて、首を横にふった。

「そうか…とりあえず、第一発見者に話を聞いてみるか?」

言われて、俺は頷き、立ち上がった。

「しかし、さすが杉本だな」

三井の言葉に首をかしげていると、少し肩をすくめながら言葉が続いた。

「ま、なにせ新人で1課に配属されるくらいだ。あのくらいは当然なのかもな」

「そういうもんかねぇ…」

正直、血の臭いで気分が悪くなったり、遺体を見て吐いてしまったり。
こんな現場が初めての奴なら、仕方ないと思うし、大丈夫か?って言いたかったんだが。


小さくため息をつきながら、手帳を取りだし、男の話を聞いた。

男の名前は戸倉啓、28歳。近くにすむ会社員で、日課のジョギング中に、道端に倒れていた被害者を発見、通報したらしい。

不審な人影や、声等は聞いていないらしい。

「なるほどねぇ…」

ポリポリと頭をかきながら唸る。


なんっか気にくわねーんだよな…


小さくため息をつくと、パタッと手帳を閉じた。

「…ご協力、ありがとうございます」

軽く頭を下げ、俺はその場から離れた。

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