恋するキモチ
…あいつは一体、何をやってんだ!


初めての現場とは思えないくらい慣れた様子の杉本。戻ってきたかと思えば、今度は楽しそうに第一発見者とおしゃべりを始める。


イライラが募る。


「…ですよね!かっこいいなぁって思ってたから、もしかしてって思ったんです!」

その言葉に、成田のイライラはピークに達した。

「ちょっと失礼」

2人が何を話しているかなんてどうでも良かった。とにかく、あんな男と楽しそうに話をしているのがどうにも我慢が出来なかった。

ぐいっと腕を引っ張って、杉本をその場から少し離れたところへと引っ張っていく。

「お前は一体、何がしたいんだ!」

小さな、でもしっかりとすごみを聞かせて言う。


まったく。今は捜査の最中だっていうのに、何がかっこいい、だ。


「さっきから聞いてみてりゃ、一体事件となんの関係があるってんだ!」

ため息混じりに説教をしていると、杉本から返答がきた。

「何って…犯人の特定ですけど」

「そうだろう関係な…犯人の特定だと?」

思わず頷きかけたものの、目を見開いて杉本を見た。


この顔は…


一瞬、ピリッと静電気のようなものが走ったような気がした。
どこかで見たような、そんな感覚が成田を襲った。


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