恋するキモチ
「あの男の人が、犯人じゃないかと思ったものですから」

『は?』

杉本の一言に、はっと我に返る。
確かに、まずは第一発見者を疑え、なんてこともあるが、いくらなんでもそれだけの理由で疑っているとは到底思えない。

「ただ、あの男の人と、被害者が、知り合いでないと…だからちょっといろいろ聞いてたんです」

その言葉に、思わず三井、山下と顔を見合わせた。


こいつ、一体何者なんだ?


素人離れした観察力に推理力(ま、ここの部分に関してはまだわからないが)。
初めてとは思えないほど、慣れた殺人現場。

ピリッとまた、静電気のようなものが成田を襲う。

「…それなりの根拠はあるから、そう言ってるって思っていいんだな?」

成田が聞くと、杉本はにっと笑って頷いた。

「わかった。それじゃやってみろ」

「先輩!?」

「成田!?」

山下と三井が、驚いたように成田の方を見る。

「はい!」

杉本は元気よく頷くと、また、あの男のところへと走って行った。
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