恋するキモチ
「…お茶でいいか?」

「あ、はい。すいません」

杉本にコップを渡すと、杉本は小さく頭を下げてお茶を飲んだ。

「悪かったな。ちゃんと俺も時間を確認してればよかったんだが」

そう言うと、杉本は頭をふるふると横に振った。

「そんな!私の方こそ…その、先輩の家まで上がりこんじゃって…」

少し俯く杉本に、気にするな、と声をかけた。


それにしても、こないだ部屋を掃除しておいて正解だったぜ。


たまたま非番ですることもなかったため、久しぶりにと部屋の大掃除をしてあったので、山下たちが泊まりにきているときよりもかなり綺麗な状態だった。

「先輩のお家って、綺麗ですね」

杉本に言われて、苦笑いを浮かべる。

「ま、今日はかなりましな方だな」

「掃除とか、結構まめにする方なんですか?」

「いや、あんまりしないな…杉本はどうなんだ?」

「え?あー…実は私も、掃除って苦手で」

苦笑いを浮かべる杉本に、俺は思わず笑った。

「やっぱり、掃除好きな女の子の方が、男の人はいいのかなぁ…」

「そうだな…ま、俺はどっちでもいいがな。ある程度ちゃんとしていれば問題ないんじゃないのか?」

「ほんとですか?良かった」

ほっとした表情で、少しだけ頬を赤らめながら杉本は笑った。


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