恋するキモチ
恋するオスギ

しっかりちゃっかり

調書を書き終えると、成田さんからまさかの食事のお誘い。
もちろん、二つ返事でOKを出した。


しかも!頭撫でてもらった!


思い出すと思わず顔がにやけてくる。


今日は絶対!いい日だわ!


現場に行く直前まで、洋司ともめていたというのに、今はそんな事もすっかり忘れて上機嫌だった。

成田に連れられていった先は、京都の先斗町にありそうな小料理屋だった。


…なんか、意外。


失礼な話ではあるが、成田のその風貌と、こんなこ洒落たお店が結びつかなかったのだ。

「いらっしゃい…あら、珍しい」

お店の中に入ると、カウンターに立っていた着物姿の綺麗なお姉さんが、にっこりと笑って言った。

「先週も山下と一緒にきたぞ?」

成田がそう答えると、女性はくすくすと笑いながら言った。

「成田さんが女性の方を連れてくるなんて。初めてじゃない?」

「なっ…!?ただの同僚だ!」

慌てた様子で成田が答える。


ただの同僚……


まがりなりにも告白してきた相手だってのに、ただの同僚って、そんなに全力で否定しなくったって。


成田の言葉が、心の中で引っかかった。
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