恋するキモチ
成田の家は、小料理屋からはそう遠くない場所にあるマンションの一室だった。


ここが…成田さんの家。


少し緊張しながらも、おじゃまします、といって、家に上がった。
1LDKタイプのマンションで、思っていたよりはかなり綺麗に片付けられていた。特にさっと見た感じでは、女の人の気配はしなかった(気がした)。

「…お茶でいいか?」

「あ、はい。すいません」

手渡された小さなクリーム色のコップに入ったお茶を一口飲む。さっきまでお酒を飲んでいたせいもあってか、お茶の水分がじわっと体中にしみこんでくる。


成田さんちのお茶、おいしい。


たぶん(というか確実に)市販のお茶だろうと思われるものなのに、はぁ、と感動でため息が出た。

少し成田と会話を交わしたところで、成田がジャージを貸してくれることになった。

「俺もあっちの部屋でちょっと着替えてくるから。お前はそこで着替えたらいい」

差し出されたジャージを受け取る。

「ありがとうございます」

お礼を言うと、成田は隣の部屋へと入っていった。


山下さんがいつも使ってるって言ってたけど…いいなぁ。そんなにしょっちゅう成田さんちに泊まりにきてるんだ。


じっと手に持ったジャージを見つめる。


って、早く着替えちゃわないと。


慌てて私は、ジャージを側に置くと、スーツを脱ぎ始めた。

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