恋するキモチ
何が起こったのか、どうしてそんなことになったのか。
頭がまだ理解できていない状態ではあったが。

「怖い夢でもみたか?」

その場の空気を換えようと、笑って聞いた。
と、京子の顔は少しこわばった表情をしていた。

「どうした?杉も…」

何も言わず、また、京子が抱きついてきた。
が、今度は肩が少し震えていた。


よっぽど怖い夢でも見たのか


まるで子供をあやすように、俺は頭を撫で、背中をぽんぽん、と叩いてやった。

「大丈夫か?」

少し、胸の辺りが京子の涙で湿っているのがわかった。


泣くほど怖い夢、ねぇ…


他殺体を見ても平然としていた京子が、『夢』をみて泣いている。


女ってのは、よくわからんもんだな。


そんなことを思いながら、京子が落ち着くのを待った。
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