恋するキモチ
重い足取りで、なんとか登庁した成田と山下。
すると、噂の杉本とロビーで一緒になった。
「あ、おはようございます!先輩方」
昨日のことはまるでなかったかのようににっこりと笑って声をかけてきた。
(ほら、ね?いったじゃないっすか。忘れてるって)
山下はこそっと成田に耳打ちすると、おう、と手をあげて杉本の傍に駆け寄った。
「昨日はありがとうございました」
楽しそうに話をしている山下と杉本を見て、少しうらやましくなる。
ほんとに忘れてんのか?
それならそれで少しほっとしたものの、残念に思う気持ちもあった。
いやいや。気まずくなるだけだろう、それじゃ。
何を考えているんだと、小さなため息がでた。
「あ、そうだ」
先を歩いていた杉本が、思い出したようにぽんっと手を合わせると、パタパタっと成田へと駆け寄ってきた。
「あの、昨日のことなんですけど」
言われて思わず体が固まる。
「私、先輩のことなんにも知らないんで…とりあえず、先輩兼お友達からでもいいですか?」
少しだけ頬を赤く染めて聞く杉本に、俺は目が点になった。
「だめ…ですか?」
おずおずと上目づかいに聞いてくるその姿を見て、思わず心臓が高鳴った。
「いや、それはぜひ…」
成田の言葉に、杉本はほっと安心した表情を浮かべる。
「よかった…!今日もよろしくお願いしますね!」
にっこり笑う杉本に、成田は何も言わず、ただ黙ってこくんと頷いた。
チャンス到来!?
俺にも春が来た!?
成田吉安、32歳、独身。
警察官になってからというもの、出会いがめっきりなくなり、気づけば彼女いない歴が二ケタに突入しそうな矢先の出来事。
ちょっぴり遅めの、春到来か??
すると、噂の杉本とロビーで一緒になった。
「あ、おはようございます!先輩方」
昨日のことはまるでなかったかのようににっこりと笑って声をかけてきた。
(ほら、ね?いったじゃないっすか。忘れてるって)
山下はこそっと成田に耳打ちすると、おう、と手をあげて杉本の傍に駆け寄った。
「昨日はありがとうございました」
楽しそうに話をしている山下と杉本を見て、少しうらやましくなる。
ほんとに忘れてんのか?
それならそれで少しほっとしたものの、残念に思う気持ちもあった。
いやいや。気まずくなるだけだろう、それじゃ。
何を考えているんだと、小さなため息がでた。
「あ、そうだ」
先を歩いていた杉本が、思い出したようにぽんっと手を合わせると、パタパタっと成田へと駆け寄ってきた。
「あの、昨日のことなんですけど」
言われて思わず体が固まる。
「私、先輩のことなんにも知らないんで…とりあえず、先輩兼お友達からでもいいですか?」
少しだけ頬を赤く染めて聞く杉本に、俺は目が点になった。
「だめ…ですか?」
おずおずと上目づかいに聞いてくるその姿を見て、思わず心臓が高鳴った。
「いや、それはぜひ…」
成田の言葉に、杉本はほっと安心した表情を浮かべる。
「よかった…!今日もよろしくお願いしますね!」
にっこり笑う杉本に、成田は何も言わず、ただ黙ってこくんと頷いた。
チャンス到来!?
俺にも春が来た!?
成田吉安、32歳、独身。
警察官になってからというもの、出会いがめっきりなくなり、気づけば彼女いない歴が二ケタに突入しそうな矢先の出来事。
ちょっぴり遅めの、春到来か??