【短編】†hospital love†
【朔也】
「ウザイ…」
それは小さな声だったけど
俺の耳には大きく鮮明にきこえた。
初めて彼女の声をきいた。
担当になった日から俺は毎日話しかけていた。
聞いているのかどうか分からないけれど、
とりあえず話し続けた。
今日初めて答えが返ってきた。
調子にのって話を膨らませる。
「ウザイ…はかなしいかな」
「無視してんのに、話しかけてこないで!」
また答えが返ってきたことに顔がほころぶ。
そして、噴き出してしまった。
「ははっは」
「意味わかんない」
彼女はそういって布団をすっぽりかぶってしまった。