【短編】†hospital love†
「蒼チャン
今日は外で花見するから」
突然そんなことを言われた。
何十年も入院していて
花見をしたことなんて
一度もない。
「そんなことする必要ない」
外に出れる。
うれしい。
そう思ったのに口から出たのは
冷たい言葉。
「行こう!
いつも病室にいるのなんて
つまんないでしょう?
気分転換にもなると思うし
外に行こう!
寒くないから風邪とかの心配もないし」
今までこんなにも私のことを考えてくれた人は
いただろうか。
みんないつも私を裏切る。
家族、病院で仲良くなった子。
みんな裏切っていくんだ。
でも
ほんの少しなら
こいつのこと
信用してもいいのかな?