ぬくもりに触れたくて。

朝起きたら隣には陸登が居て

起きようとしても
がっちりと抱き寄せられているので、身動きが取れない。


「…………。」

疲れているようで静かな寝息を立てて眠ってる。

今の私にはこの寝顔さえ見たくない。

腕を何とか解いてリビングへ行く。

「口なんか訊かないんだから。」

朝食の準備だけを済ませて足早にアルバイトへ向かった。

昼休みに来た陸登からのメールの返事も返さない。

子供で、私も悪いのは分かってる。

でも…この事だけは譲れないんだもん。

「お疲れ様でした~。」

バイトを上がり店を出る。

「雨…。」

傘、持ってないや。

お店の傘も売り切れ。

最悪だ。

「濡れて帰ろうかな。」

歩き出した。

「まろん。」

傘を差し出したのは陸登で。

「…………。」

無言で傘を受け取る。

その間

2人には会話はない。

ただ黙々と帰宅した。

「ただいま。」

普段は返す おかえり

今は言いたくない。

足早に部屋へ行く。

陸登は困った顔をして私を見つめてた…。

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