ぬくもりに触れたくて。

こんな悲しみを望んだ訳じゃない。

甘え過ぎて、言い過ぎたのは私で…。

彼を怒らせたのも私。

「陸登…。」

あんな怖い顔は初めて見た。

"頭冷やせ"

言われて私は外に行く。

何も考えないでただ歩く。

きっと素直に謝れば全て元に戻るのに。

それが出来ない。

「苦しいよ。」

謝ったら陸登はまた頭を撫でてくれる?

抱き締めてくれる?

そんなことを考えながら、家の周りを一周して部屋に帰った。

彼は私が帰っても、ソファーに座って見向きもしない。

ごめんなさい

なんて言える雰囲気じゃなかった。

ただ無言のまま

私は部屋に行く。

静かに鍵を掛けて
1人で後悔して泣いた。

傷付けたの。

彼の心を踏みにじって。

「ごめんなさい…っ」

つぶやいても

彼には届かない。

出て行くのが怖い。

顔を見るのが怖い。


_コンコン。

「…………っ。」

「まろん、出てきなよ。」

無理だよ。

あなたは絶対怒ってるもの。

「怒ってないから。
俺も…言い過ぎた。ごめん。」


静かにドアを開ける。

そこには_。
< 14 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop