ぬくもりに触れたくて。

いつもの優しい笑顔の彼が立ってた。

力無く抱き付く。

「ごめんなさい…ごめんなさい陸登…。私、ちっとも陸登の気持ち考えてなかった…傷付けた…。」

「…俺こそごめん。
まろんの気持ち、ちゃんと考えてあげられなくて…泣かせちゃって。」

精一杯首を横に振る。

「私まだ子供だから…いっぱい迷惑や心配掛けちゃう。…それでも、離れ行かないで…別れたくないよぉ。」

押さえてた感情が溢れる。

自ら口にした別れの言葉に後悔と恐怖。

「俺がまろんを手放す訳ないだろ?
子供だなんて思ってないよ。言い過ぎた…ごめんな。」

「りっくん…っ…」

抱き付いて
子供みたいに泣きじゃくった。

彼の優しさにまた甘えて

ゆっくりと頭を撫でてくれる彼の手と

諭すような優しい口調。

「落ち着いた?」

「うん…。」

温かいミルクを入れてくれた。

「…記念日には無理になったけど、その前の日、約束してたレストラン行こう?」

「……え?」

過ぎてしまえばなんの意味も無くなる。

でも、前の日なら

00:00

日にちが変わる。

一年記念日を迎えられる。

「どうかな…?」

小さく頷いた。

「ありがとう。」

聞き取り難かったかもしれない。

今の私の気持ち。

「…いいえ。幸せな記念日にしようね。」

そっと耳元でそう返事をしてくれた。

あれ以来、大きな喧嘩はない。

ずっと仲の良いカップルで幸せに過ごしてる。


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