ぬくもりに触れたくて。
―出会い―
その日、私は好きな人に誘われて映画を見る予定だった。
でも好きな人は幾ら待っても来なくて。
「私、場所と日にち間違えたのかな」
スケジュール帳を確認するも、間違えてはない。
携帯を鳴らしても出ない。
「…寒い。」
手袋を忘れた私の手は冷たく、赤くなっていた。
それから夕方まで待つも好きな人は来なかった。
帰ろうと歩きだした。
_バサバサッ
「きゃっ!?」
目の前を通り過ぎようとした男性が書類みたいな紙をバラまいてしまっていた。
私は急いでかき集めて立ち上がるも男性は居なくなっていた。
「これどうしたらいいの~;」
ふと書類を見ると会社の名前と住所が書いてあった。
私は急いで書類を届けに会社まで行った。
場所は遠くなく、すぐに着いた。
ロビーであたふたする男性を見つけた。
「あ、さっきの…」
書類を探しているらしく忙しく鞄や紙袋を探してた。
「やべ~よ;まじ何処に落としたんだ俺っ!大事な会議なのに…」
「あの…」
「今ちょっと忙しいんで後にして下さい!!」
「いえ…さっき書類落とされましたよね?」
「………え?」
ぴたっと動きが止まる。
私をゆっくり見つめる。
「書類、これですよね?」
そう言って書類を渡した。
数分確認をした後
「ありがとう御座います!大事な会議に使う書類なんです!!本当に助かった…お礼しないと…あ、もしお時間あるなら少し待ってて貰えませんか?」
そう頭を下げて安心したように首を傾げる男性。
特に何もなかったので少しの間待つことにした。