ぬくもりに触れたくて。
それから1時間後
彼は急いでかけてきた。
「お待たせしてすみません。
ちょっと押してしまって…」
あ…綺麗な顔してるなぁって思ってしまった(笑)
「大丈夫ですよ?
気になさらないで下さい」
「ありがとう御座います。
さて、食事なんかどうですか?」
丁度お腹もすいてたので
「はい、是非。」
なんてちょっと笑みが。
「じゃあ…ラーメンなんかどうです?」
「良いですよ~。
私、大好きなんで☆」
普通はきっと高いフレンチとかなのかな?
「すいません、ちょっとピンチでこんなもんしかご馳走出来ないんですが…」
素直な方なんだなって思った。
「そんなことないです!
ありがとう御座います。」
それから、彼が行き着けだと言うラーメン屋さんに行った。
「ここのラーメン、凄く美味いんですよ。」
「そうなんですか?」
小さな店舗。
あまり人が入らないような古い内装。
お客さんは私と彼の2人だけ。
「おじさん、いつもの一つ…っと何にする?」
「ん~…何がオススメですか?」
「そうだな~…コレかな」
「じゃあ、これにします(笑)」
「おじさん、いつもの2つね」
そう嬉しそうに注文する横顔にちょっと見とれた。
「りくちゃん新しい彼女かい?」
「ばっ…違うよ!書類落としちゃって拾ってくれたお礼!」
"りくちゃん"と呼ばれた男性はそうテンパってた(笑)
「こんな可愛いお嬢さんにラーメンなんて、今時の男は駄目だねぇ(笑)」
「可愛いだなんて…。」
不覚にも少し照れてしまった。
「本当にすいません…」
また申し訳なさそうに謝る彼。
「大丈夫ですよ?
あ、ラーメン来ましたから食べましょう?」
寒い季節にちょっと失恋して冷たかった私の体と心を
このラーメンと彼に癒やして貰えた。
「あ、凄く美味しい!」
「でしょ?良かった。」
で、いつの間にか、私もこのラーメン屋の常連客になっちゃいました。