ぬくもりに触れたくて。

「ママ・・ママが無事でよかったの。」

「待って!お願い、戻ってきて!」

「ママ、未来で待ってるの。」

・・・!!

「だから、泣かないで。
私、パパとママの子だから。」

あなたは『未来』だったんだね。

「私、パパとママに2人に似てるでしょ?」

光がひいて行く。

はっきり見える私たちの生まれるはずだった命。

「そっくりだね、未来。」

我が子を抱きしめる。

この小さな体を奪ってしまった自分が憎い。

「責めないでママ。私、またママたちのこどもになる。」

「うん・・っ」

「だから、また必ず逢えるの。」

にっこり笑う、その笑顔は私にそっくりで

薄く青い瞳は陸登と同じ。

「ママ、パパによろしくね?」

そう、もう一度だけ振り向いて小さく手を振った。




「・・・未来。」

「まろん?・・気がついた?」

「陸登、今、私たちの子に逢ってきたよ。」

「・・・・そっか。」

ずっと手を握り続けてくれたんだね。

「あのね、赤ちゃん、未来だったの。」

「未来か。」

「私と陸登にそっくりな可愛い女の子だったよ。
とってもしっかりしてて、性格はきっと陸登似ね。」

「そっか、また会えるよな?必ず。」

「うん、また私たちの元に生まれてくれるって言ってたよ。」

不思議と涙は出なかった。

きっと未来が逢いに来てくれたから

そして、約束してくれたから

私たちの赤ちゃんとして

また来てくれること。

だから、今度はちゃんと

あなたを2人で抱きしめてあげるからね。

体はなくなってしまっても

未来は私たちの大切なこどもだから。

この先、ずっと私たちの中で生きてる。

有難う。

私と陸登の元に来てくれて。

ママとパパ、未来に出会えて幸せだからね。

< 42 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop