ぬくもりに触れたくて。
「ママ・・ママが無事でよかったの。」
「待って!お願い、戻ってきて!」
「ママ、未来で待ってるの。」
・・・!!
「だから、泣かないで。
私、パパとママの子だから。」
あなたは『未来』だったんだね。
「私、パパとママに2人に似てるでしょ?」
光がひいて行く。
はっきり見える私たちの生まれるはずだった命。
「そっくりだね、未来。」
我が子を抱きしめる。
この小さな体を奪ってしまった自分が憎い。
「責めないでママ。私、またママたちのこどもになる。」
「うん・・っ」
「だから、また必ず逢えるの。」
にっこり笑う、その笑顔は私にそっくりで
薄く青い瞳は陸登と同じ。
「ママ、パパによろしくね?」
そう、もう一度だけ振り向いて小さく手を振った。
「・・・未来。」
「まろん?・・気がついた?」
「陸登、今、私たちの子に逢ってきたよ。」
「・・・・そっか。」
ずっと手を握り続けてくれたんだね。
「あのね、赤ちゃん、未来だったの。」
「未来か。」
「私と陸登にそっくりな可愛い女の子だったよ。
とってもしっかりしてて、性格はきっと陸登似ね。」
「そっか、また会えるよな?必ず。」
「うん、また私たちの元に生まれてくれるって言ってたよ。」
不思議と涙は出なかった。
きっと未来が逢いに来てくれたから
そして、約束してくれたから
私たちの赤ちゃんとして
また来てくれること。
だから、今度はちゃんと
あなたを2人で抱きしめてあげるからね。
体はなくなってしまっても
未来は私たちの大切なこどもだから。
この先、ずっと私たちの中で生きてる。
有難う。
私と陸登の元に来てくれて。
ママとパパ、未来に出会えて幸せだからね。