ぬくもりに触れたくて。

「いってきます。」

「いってらっしゃい。」

・・・陸登が遠く感じる。

「りっくん!!!」

思わず叫んで手を伸ばす。

遠く遠く離れて行く。

行かないでっ!



「・・ろん!まろん!」

軽く揺すられて目を覚ました。

心配そうに私を見つめる

「・・夢・・。」

良かった。
夢で・・。

「怖い夢、見たんだね。」

何も言わず、ただあなたに寄り添う。

何も言わないで抱きしめてくれる。


「まろん、今日は朝ごはん俺が作るから、もう少し眠りな?」

「・・ソファーで、寝る。」

「ん。わかったよ。」

体ふわっと浮く。

「りく・・?」

「連れてってあげる。」

にっこり、安心させてくれる笑み。

あの夢のせいで

少しでも陸登が見えるところに居たかった。



「まろん、朝食、作ったから食べてね?
あとホットミルクも。」

くしゃっと私の頭を優しく撫でる。

心地よくて顔が綻ぶ。

「ん、ありがと。行ってらっしゃい。」

「行ってきます、まろん。」

ちょっとだけ、苦いキスをくれた。


_パタンッ

静かにしまるドア。

作ってくれた料理を食べる。

「おいしい。」

陸登、料理上手。

普段あまり作らないから。

温めなおすホットミルク。

少しのハチミツ入り。

コーヒーが飲めない私には

これがコーヒー。

自分で淹れると美味しくなくて

彼の淹れるホットミルクはとても美味しい。


今日はお休み。

ちょっと久しぶりにお散歩行こうかな。





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