ぬくもりに触れたくて。

-遅すぎた真実-

目が覚めると

いつもの部屋。

「あれは夢だったのかな。」

確かに意識は途切れたはず。

きっと私は、悪い夢を見ていたのかもしれない。

時計を見る。

もう1日が終わっていた。

陸登が帰って来てる。

急いでリビングへと足を運ぶ。

仕事から帰宅した陸登がソファーに座ってる。

「おかえりなさい!
今日もお疲れ様。」

抱き付いても
反応がない。

返事もしてくれない。

「陸登?」

「…………。」

何かあったのかな。

もしかして、私、何かしちゃったの?

「まろん…。」

「ん?」

私の名前を呼ぶ。

だから返した。

だけど、彼からの返事はない。

「どうしたの?
会社で何かあったの?」

手を握りしめて、強く痛いくらいに、握る陸登。
その手は、かすかに震えて居た。

「…………おやすみ。」

そう、呟いて

陸登は寝室へと姿を消してしまった。

「どうしたんだろう。」

不思議に思いながらも

私もまた、寝室へと行って、彼に寄り添って眠りについた。

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