ぬくもりに触れたくて。
「今日はハンバーグにするね?」

相変わらず、反応はない。

「野菜ちゃんと食べてね?毎回工夫してるんだから(笑)」

夕食を作る。

何も変わらない、いつもの風景。

変わってしまったのは

あなたが笑顔を失ったこと。

あれから二週間が立つ。

陸登は仕事に行かない。

私の事も無視して

食べてくれたご飯さえ
手を付けなくなった。

そして
毎日、毎日泣いてる。

"まろん"と何度も呟きながら。

「私はずっと此処にいるよ?何で…無視するの?」

あなたの目を見つめても

視点が重なることはない。

綺麗な青い瞳が

私を見ることはない。

「……早く帰って来てよ陸登。今のりっくんは、別人だよ…。」

悲しくて涙が出る。

私のことなんか

居ないみたいに

ずっと傍に居るのに。

ー遅すぎた真実ー

1 陸登が私を避けてから

1ヶ月の月日が流れた。

あれから、私が居ない間に陸登はようやく食事を食べるようになった。

私が居ると食べられないみたいだから、食事の時は寝室へ行く。

「ちゃんと食べてくれたんだね。」

「………やっぱり、美味しくない。」

「え?今日は味付け悪かった?」

初めて出た不満。

「ごめんね、次から気をつけるから。」

「…………。」

陸登?

初めて私を見つめた気がした。

ようやく話す気になってくれたの?

「まろん…。まだ受け入れられない。」

「…なんのこと?」

受け入れる?

言ってる意味が理解出来ない。

「まろんが、天国に行ってもう1ヶ月が立つ。
…どうしよう…まだ待ってる。ドアから、君が帰って来るんじゃないかって。」

「なに言ってるの?
私は此処に居るじゃない。冗談やめてよ。」

そんな冗談聞きたくない。

私を驚かせるつもりなの?

「本当はなにがあったの?」

「でも…帰ってくる訳ないんだよな。あの日、まろんは旅立ったんだから。」

………あの日?

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