白波リズム
「いやー、しかしどうしよう。」


「やっぱりこうなったかー。あん時はいけると思ったんだけどなー。」




案の定、食べ尽くせない程のケーキが、テーブルの上に並べられていた。





「まぁ、まだ時間あるし、ゆっくり片付けよ?」


美咲が優しく笑う。



「そうだね。」




「あ、雨だ。」

美咲が窓の外を指差す。




「…本当だ。」



「ちょうど雨宿りになるね。」




「…あのね、初めて会ったのも、こんな雨の日だったの…。」



美咲が不思議そうな顔をした。



「さっき言ってた男友達。雨の日なのにさ、アイツ自転車乗ってて、水溜まりを通った時に泥水が跳ねて、私のコートにかかったの。白いお気に入りのコートだったのにさー。
あの時のアイツの驚いた顔は忘れられないなー。」


ゆっくりと、あの頃の記憶が蘇る。



あれが、きっかけで仲良くなったんだよな。



ゆっくり、ゆっくりと溢れかえる。
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