愛しー時に抗うもの達ー
後ろを振り向くと、土方さんが机に突っ伏していた。

「土方さん…?」


四つん這いで土方さんの机の前に周りこんだ。



寝てる…



疲れてるんだろう。
新撰組の副長だ。仕事の量も半端ではないだろう。



眉間に皺を寄せたままだ。


寝ている間に体が冷えないように羽織をかけ直してあげた。



起こすのも忍びない。



「お休みなさい。土方さん」


彼の黒髪を撫でるとサラサラして気持ち良かった。


寝ている土方さんになら話せる。


「私には、好きな人がいたんですよ?


いまじゃあ手の届かない所に行っちゃって…《好き》って言えなかった。



本当に意気地無しな馬鹿でしょう。アハハ…」


頬に温かいものが伝った。
「あたしのせいでッ…


ッ…!!」

土方の髪から手を離してその手で涙を拭って泣き止もうとした。


それが逆効果で、
滑稽な自分の姿に余計涙が溢れた。







ギュッ…



温かいものが私を抱き締めた。


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