愛しー時に抗うもの達ー
それから…


話は、終わり
土方さんは夜に間に合う様に仕事をしてくれた。


本当に優しいんだから。











そして、待ちに待った夜。
土方さんも紺色の浴衣に着替えていた。


屯所から二人で歩いていった。


人通りが多くなってきた所で土方さんが私に手を差し出した。

「へッ?」

すっとんきょうな声をあげた私に

「手だよ、手繋いでねぇと人混みで迷うぜ?


いいのか?」




ゆっくりと彼の右手に左手を乗せた。


トクトク…


心臓が波立った。


「…?」

繋がれた手は熱を持っていた。


なんだろう…



「ほら、行くぞ」

先を歩く彼を繋がれた手と交互に見た。






酔いそうな人混みに

私の心の中で育ってきたまだ小さな想いは




気付かないままになった。


それは、星が降るんではないかと思う様な綺麗な夜の事だった。


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