愛しー時に抗うもの達ー
これ以上は体が持たない、と帰ろうと振り返った時だった…


ジャリ…

階段がある方角にボヤ~とオレンジの光が灯っていた。暗く、ボヤ~とした光がなんとも頼りなげに揺れていた。

「え…∑何あれ…ゆう…れい…?」

だんだんと近づいてくるオレンジの灯り。

丁度雲に月が隠れて周りが暗くなった時。






「…鈴……ちゃ…ん…」


切れ切れの声が聞こえ、月が出てきて相手が見えた。

髷がくずれ、汚れた着物からは赤い血が着いていて草木が頭や体に所々についていた。


「でたああぁぁぁああぁぁ∑」



ぎゃあ~と後ろから間抜けな声がしたが鈴はなりふり構わずに、踵を返して傾斜があり暗い獣道を団子を抱えて駆け上がった。


< 48 / 60 >

この作品をシェア

pagetop