recollectionⅡ‐遠い音‐
「わかちゃん嬉しそう」
手を繋いだ友人が
手を離して私に言った。
「いやぁ。懐くて」
見慣れた校舎だったものが
小さく感じた。
当たり前か、
今の学校の方が大きいからな――。
「じゃあ行こう怜佳」
私は友人の名前を言った。
――今日はこの中学校の文化祭の日だ。
去年は実行委員をやっていたのに
今年は観客だ。
少し寂しい気がしたが、
会場の体育館に私たちは入った。